「へえ。あ、冬なんだ?」


彼の誕生日を頭の中にメモしながら聞いた。


「よく言われる。夏っぽいって思った?」


「うーん、秋かと思ってた。九月とか」


理由はない。勘だ。


でも、私の勘はいつも外れるから意味ないんだけど。


「いや最近は九月も夏やんけ」


そう言って笑った。


やっぱり、笑った顔も綺麗だった。


「いやいや、一応秋じゃん。一般認識としては」



こんな他愛ない会話をできるのは嬉しかった。


けど、それと同じくらい胸がちくりと痛んだ。


理由は単純。他の女子ともこんな感じで話すから。


彼の人生では、私なんかただのクラスメイトAなんだよって言われているようで痛かった。


クラスメイトにもなれていないかもしれないし、Aでもないかもしれない。


彼はこれまでも、これからも、たくさんの人と関わって過ごすと思う。


だから彼の人生の中では、『その他』という箱に分類されるのかもしれない。