「えーっ、一位!?」


昼休みに、誰かの声が響いた。


あの、容姿端麗な彼は、成績優秀でもあった。


新入生のテストで堂々の一位。



私もそれなりに勉強はしたつもりではあるけど、彼はそれを遥かに上回っていた。


どうしてわざわざ佐多高校に来たのか。


彼ならもっと偏差値の高い高校にいけたはず。




「愛那みてこれ」


彼が私の方を向いた。


最高だったのは、同じクラスで、しかも隣の席になったこと。


しかも、名前で呼んでくれる。


クラス全員名前で呼んでいるからなんだけど、それだけでも十分嬉しかった。



彼は本を私に見せてきた。


こうして話しかけてくれるんだから、社交性もあって人間性もある。



「なに?」



私はどうしても、好きな人には冷たくなってしまう。


もっと可愛く言えたらいいのに。



「こいつ俺と同じ誕生日」


そう言って彼は、小説の登場人物が、自分の誕生日を言っている場面を見せてきた。