校舎の中に、父と母と入ろうとしたとき。


「えっ?」


「ん?どうした、愛那」


「ううん、なんでも……」



イケメンがいた。


ただそれだけ。



別に、知り合いでもなんでもない。


初対面だ。



でも、思わず声が出るほど綺麗な顔立ちをしていた。


というか、私の好みをそのまま表した、みたいな人だった。


その人も、親と一緒に来ているから、新入生ということは確かだ。



こんなにも顔がいい人を見たことはない。


中学生のとき、人生で一番この人のことが好きだと、これ以上にいい人はいないと思っていた、一つ上の先輩よりも遥かに。



私はそこまで面食いというわけでもない。


どちらかというと、顔よりも性格を重視する派だ。



そんな私が、こんなに目を奪われるなんて。







やはり彼は、誰もが二度見する容姿とオーラをもっていた。