空蝉真。シンは、マコトとも読むだろう。それで、源氏名がマコト。
ぱち、ぱち、と、パズルのピースがものすごい速さで埋まっていく。
「……嵐先輩。ここまでどうやって知ったか、教えてください」
「昨日の夜、繁華街で大学の友達と飲んでたら、見つけたの。お店にもよく来てたから顔も覚えていたし、なにせみんなが振り返るような男の子だもの。目立つよ」
「それで、そのサイトは」
「昨日王子様を見つけたあとにね、その近辺に事務所があるお店を調べたら、一発」
「ネットストーキング上手いの、キモいです……」
「なんとでも言って。ぼくは、心配してるだけ」
嵐先輩はスマホを暗転させ、ポケットに仕舞った。
信じたくない。なにもかも。だけど、全ての辻褄が合う。
空蝉さんが職業を隠していた理由も、夕方、ふつうの会社員ならまだ働いているであろう時間にふらりとこの喫茶店に現れる理由も、空蝉さんの家に、女性の影がある理由も。
連絡が返ってこないのは、女性と一緒にいるから。おばさんと手を繋いでいたのは、それがお客さんだったから。
……会わなきゃ。理解しなきゃ。
「嵐先輩。あたし、空蝉さんのところに行く」
「え、いまから?」
「いまからです。更衣室使うので、先に外出てもらえますか」
やっぱり横暴だな、と嵐先輩が眉をひそめた。だけど、優先すべきは目の前の男ではなく王子様だった。空蝉さんに会わなければならないと思った。


