脇役だって、恋すれば

「悪い。仕事のこと、まだ正式に決まったわけじゃないから口外できなくて」
「あ、うん、そうだよね。大丈夫、わかってるよ」

 ちょうど姉とのことを話していた最中だったし気まずいだろう。きっとそうだと思って笑みを返すけれど、もし青羽が私と姉のことを言っていたとしたら……と考えると複雑な気分になる。

「亜瑚さんも絶対外部に口外しないでくださいね。なんか心配で」
「なんで!? もちろん心得てるから」

 若干信用していない青羽に、姉はむっと頬を膨らませた。しかし、すぐにその表情をほころばせる。

「グランウィッシュが手がけるって聞いたから、なんとかスケジュール調整するつもり。やっと香瑚の仕事ぶりを間近で見られるチャンスだもの」

 どうやらオファーを受ける気満々らしい。いよいよ仕事の場で姉妹そろうことになるのか。

 お母さんは喜ぶんだろうなと他人事のように思っていると、姉はテンション高く話を続ける。

「そうそう、この間ライトフルにお邪魔した時に、青羽くんが高校の時の話もしてくれたの。それでね、実は彼──」
「亜瑚さん!」

 姉がなにか言いかけた瞬間、青羽が慌てて止めに入った。細い腕を掴み、目力の強い瞳でじぃっと彼女を見る。