脇役だって、恋すれば

 彼の存在を知っている上に、まさかの名前呼びなのでギョッとした。ついでに心臓にピシッとヒビが入るような感覚を覚え、姉と青羽を交互に見やる。

 青羽はなんとなく気まずそうな笑みを浮かべて会釈した。

「こんばんは、亜瑚さん」
「こんなとこで会うなんて……あっ、もしかしてデートしてた!? 邪魔してごめんね! でも香瑚と仲よくしてくれてありがとう~」

 なぜか親のごとく頭を下げる姉にもツッコみたいところだけれど、とにかくまず聞きたい。

「ふたり、知り合いだったの?」
「ああ、香瑚はまだ聞いてないのね。私、ライトフルの新作発表会にゲストで出てほしいってオファーが来たの。その関係でついこの間会社にお邪魔した時に、『妹さんの同級生がいますよ』って紹介されたのよ」
「そう、だったんだ……!」

 嘘……まさかお姉ちゃんにオファーがいくとは。ゲストのキャスティングはライトフルのほうで依頼することになったから、こちらはまだ連絡をもらっていないのだ。

 というか、ライトフルにも私が亜瑚の妹だと知っている人がいたのか。しかも、私と青羽の関係まで知っているって、いったい何者?

 青羽が自分から言ったのかなと、困惑しつつちらりと見上げると、彼も申し訳なさそうにこちらを見下ろす。