彼はあの頃、ゲームの話で盛り上がった唯一の男友達で、自分も物語を作りたいと言っていたっけ。すごいな、夢を叶えたんだ……。
しかも、クルーエルワールドは大人気のアドベンチャーゲームだ。アプリでリリースされた直後から広告をよく見ていたので私もプレイしてみたが、人気になるのも頷けるクオリティーだった。
ゲーム界隈でも、グラフィックの美しさや魅力的なキャラ、そしてなにより泣けるというシナリオの評価が高いらしい。
まさかその大作を新涼くんが作っていたなんて。まさに新進気鋭のシナリオライターだろう。講演にこんなにたくさんの人が集まるのも納得だ。
なんだか感慨深く、胸が高揚するのを感じながら彼を見つめる。揺れる視界に映る彼は、高校時代と同じアンニュイな雰囲気を漂わせつつ、適度に力の抜けたしゃべり方でこちらに質問を投げかける。
「皆さんの中で、自分をサブキャラやモブキャラだと思っている人はいますか? その他大勢の中のひとりだって」
さっき小声で話していた男性陣がなぜか自信満々に手を挙げ、私もくすっと笑いつつ控えめに挙げてみた。
私も迷いなく脇役だと断言する。ずっとそうだと思いながら生きてきたから。
特別秀でたものを持っているわけでもなく、偉業を成し遂げることもない。決して目立たず、華がある主人公を支える。そういう日陰の存在だって。
しかも、クルーエルワールドは大人気のアドベンチャーゲームだ。アプリでリリースされた直後から広告をよく見ていたので私もプレイしてみたが、人気になるのも頷けるクオリティーだった。
ゲーム界隈でも、グラフィックの美しさや魅力的なキャラ、そしてなにより泣けるというシナリオの評価が高いらしい。
まさかその大作を新涼くんが作っていたなんて。まさに新進気鋭のシナリオライターだろう。講演にこんなにたくさんの人が集まるのも納得だ。
なんだか感慨深く、胸が高揚するのを感じながら彼を見つめる。揺れる視界に映る彼は、高校時代と同じアンニュイな雰囲気を漂わせつつ、適度に力の抜けたしゃべり方でこちらに質問を投げかける。
「皆さんの中で、自分をサブキャラやモブキャラだと思っている人はいますか? その他大勢の中のひとりだって」
さっき小声で話していた男性陣がなぜか自信満々に手を挙げ、私もくすっと笑いつつ控えめに挙げてみた。
私も迷いなく脇役だと断言する。ずっとそうだと思いながら生きてきたから。
特別秀でたものを持っているわけでもなく、偉業を成し遂げることもない。決して目立たず、華がある主人公を支える。そういう日陰の存在だって。



