脇役だって、恋すれば

「……見抜かれていましたか」
「ああ。青羽の言う通り、君はわかりやすいね」

 クスッと笑う彼に、私は肩をすくめて素直に謝る。

「すみません。やっぱり気を遣わないっていうのは無理がありまして」
「そりゃそうだよな。僕のほうこそ、遠慮させてすまない」
「いえ、謝らないでください!」

 慶吾さんは気分を害した様子もなく、逆に頭を下げるので慌てて制した。謝らせてしまって申し訳なく思うも、彼は真剣な眼差しを向けてくる。

「だからこそ、もっと香瑚ちゃんのことを知りたい。またデートに誘ってもいいか?」

 予想外の二回目のデートのお誘いに、私は目を見張る。

 これもきっと王子と村娘として、だよね? 慶吾さんって役者もできるのでは、と思うくらい冗談っぽさがなくて、なんだか勘違いしそうになってしまう。が、新涼くんのために私も村娘になりきらないと。

「どうしてそんなに、私を……その、気に入ってくださるんですか?」 

 私が村娘だったら、なぜ身分に雲泥の差がある自分に迫ってくるのか理解できないはず。もしかして気があるのかも、なんて期待すらできないんじゃないだろうか。

 そう考えてストレートに尋ねてみると、慶吾さんは私を見つめる瞳に情熱的な色を濃くしていく。