登壇している若そうな男性に視線を移す私の耳に、戸口辺りに立つ男性ふたりの小さな話し声が入ってくる。
「くっそイケメンだなー。あのルックスで才能もあるって、神様不公平すぎじゃね?」
「いやもう、新涼さんが神様みたいなもんだろ。一年で一億ドル以上売り上げた『クルーエルワールド』のシナリオ書いてるんだから」
飛び出した名前に反応すると同時に、真剣な面持ちでマイクを握る講師の人物に焦点が合う。
その瞬間、私は大きく目を見開いた。
「新涼、くん……?」
約八年、口にすることのなかった懐かしい名前がぽつりとこぼれた。
少し癖毛っぽいラフな髪は、あの頃よりえり足が短くなった。バランスの取れた綺麗な目鼻立ちはそのままに、顎のラインはよりシャープになって大人の男性らしさを感じる。
着崩した制服姿ではなく、洗練されたカジュアルスーツ姿も魅力に溢れている。
そこにいるのは、人気シナリオライターであり──初恋相手の同級生、新涼青羽だった。
当時の記憶が走馬灯のごとく頭に流れる。
苦い思い出の元凶なのに、込み上げてくるのは胸を締めつけるような甘酸っぱい懐かしさ。大好きだった、他のクラスメイトより少し大人びた落ち着きのある笑みが蘇る。
「くっそイケメンだなー。あのルックスで才能もあるって、神様不公平すぎじゃね?」
「いやもう、新涼さんが神様みたいなもんだろ。一年で一億ドル以上売り上げた『クルーエルワールド』のシナリオ書いてるんだから」
飛び出した名前に反応すると同時に、真剣な面持ちでマイクを握る講師の人物に焦点が合う。
その瞬間、私は大きく目を見開いた。
「新涼、くん……?」
約八年、口にすることのなかった懐かしい名前がぽつりとこぼれた。
少し癖毛っぽいラフな髪は、あの頃よりえり足が短くなった。バランスの取れた綺麗な目鼻立ちはそのままに、顎のラインはよりシャープになって大人の男性らしさを感じる。
着崩した制服姿ではなく、洗練されたカジュアルスーツ姿も魅力に溢れている。
そこにいるのは、人気シナリオライターであり──初恋相手の同級生、新涼青羽だった。
当時の記憶が走馬灯のごとく頭に流れる。
苦い思い出の元凶なのに、込み上げてくるのは胸を締めつけるような甘酸っぱい懐かしさ。大好きだった、他のクラスメイトより少し大人びた落ち着きのある笑みが蘇る。



