脇役だって、恋すれば

 うっ、新涼くんを意識していることは教えていないのに、あっさりバレてしまった……。恥ずかしくて顔が熱くなる。

 いやそれより、めぐちゃんは私がメンズを選びたい放題のような感じで言っているけれど、悲しいかなどちらからもそういう対象として見られていないから。

 なにやらひとりうんうんと頷いている彼女を据わった目で見やる。

「めぐちゃん、さっきから乙ゲーやってる感じで、私の話楽しんでるでしょ」
「あ、わかります? ぼくマーはクリアしちゃったし、他のもやってみようかなって乙ゲーに手を出したら、まんまと沼りそうで」
「意外と影響されやすいのね」

 私を乙女ゲームに見立てても面白くはないと思うのだけど、ゲームの楽しさに目覚めてくれたのは嬉しい。

 脱力して笑っていると、彼女は私の肩にぽんと手を置く。

「とりあえず、大丈夫です先輩。好きな人から愛されたら、誰もがお姫様になれますから」

 やけに説得力のあるひと言を投げかけられ、目を見張る。心がほわっと和むのを感じつつも、得意げに微笑む彼女に「なにが大丈夫なの、なにが」とツッコんだ。

 とにかく、めぐちゃんはどちらかと進展してほしいと期待しているのはよくわかった。が、私はそんなに甘い未来は想像できないし、これからいったいどうなるのか見当もつかない。