脇役だって、恋すれば

「いやー、相手がイケメン社長ってめちゃくちゃ気遣うじゃない? 外見も中身も釣り合うようにしなきゃってプレッシャーもあるし、寄ってくるセレブな女たちと張り合ったり、相手のご両親の反対を乗り越えたり」
「確かにそれもテンプレだ」

 めぐちゃんは納得した顔で腕を組んで頷いた。

 シンデレラヒロインには大きな困難がつきものだ。気楽な生活に慣れてしまった私は、そんな波乱に満ちた大恋愛はちょっと遠慮したい。

「人並みでいいのよ。贅沢な暮らしができなくても、私のことをちゃんと見て丸ごと好きになってくれる人と、身の丈に合った恋愛ができれば十分」

 控えめな理想を語っておきながら、それすらも難しそうなんだけどね……と内心苦笑いする。

 頭の中に浮かぶのは、またしても気まずくなって別れてしまった彼の姿。食事会ではあの後もよそよそしいままだったし、私たちって結局こうなる運命なんじゃないかとすら思う。

 小さくため息をつくと、キョトンとしていためぐちゃんは、ピンときた様子でにやりと口角を上げる。

「そっか。先輩が気になってるのは、あのイケメンシナリオライターのほうですね? 同級生との再会っていうのもオイシイ設定だし、彼も捨てがたいのはわかる」