脇役だって、恋すれば

 会場に大きく掲示されているタイムテーブルを確認しためぐちゃんの言葉で、私の好奇心が疼き出す。

 今しがた言ったように、最近はファンタジーや恋愛モノだけでなく、ホラー系もストーリーがよく練られていて、私もそういうゲームが好きだ。

 それをどうやって作っているのか興味はあるので、シナリオライターの人が来るなら聞いてみたい。

「先輩、休憩がてら覗いてきていいですよ。もうピークも過ぎたし」

 ブラウンの革ベルトがカッコいい腕時計を見て、めぐちゃんがありがたい言葉をくれた。

 イベント中は比較的自由に動けるので、各自で適宜休憩を取るようにしている。午後二時になった今、新たに訪れる参加者は少なくなってきたし、特にトラブルも起きていないので交代で抜けても問題ないだろう。

「じゃあ、お先にちょっとだけ行ってこようかな。ついでにめぐちゃんの分も飲み物買ってくるね」
「あざーす」

 ボブの髪をさらりと揺らして軽く頭を下げ、男らしく返事をする彼女に微笑みかけた。

 ひとまずお手洗いに寄ってから、例の会議室へ行ってみる。すでに講演は始まっていて、中から男性の話し声が聞こえてくる。

 開放されているドアからひょいっと中を覗き込むと、席はすべて埋まっていて立ち見している人までいた。こんなに人気の講師って誰なんだろうか。ベテランさんかな。