脇役だって、恋すれば

「そこまで仲がいいというほどでは……。この間、偶然再会するまで連絡も取っていなかったですし」
「でも知ってたんでしょう、青羽の夢。あいつがそんな話するの、本当に気を許した相手だけだと思うけど」

 そう言われて嬉しさが込み上げる反面、胸が苦しくもなる。だって、彼の夢を知っているのは私だけではないはず。

「私が特別なわけではないですよ。『俺が夢を叶えて、今もこの世界でやっていけてるのは、ある人のおかげ』と言ってましたから」

 きっとその人が新涼くんの支えになっていたのだろう。私はただ、あの頃に理想を語り合っただけだ。

 微笑みは絶やしていないものの、目線はすぐに下を向いてしまう。切なさをごまかして綺麗な赤身の肉を切る私を、須栗社長はじっと眺めて「そっか」と軽く頷いた。

 そして彼はワインをひと口含んだ後、戻ってきた新涼くんが椅子に座ろうとすると同時に口を開く。

「僕さ、青羽のことが好きなんだよ」

 飛び出したまさかの告白に、ギョッとした私たちの「「えっ」」という声が重なった。

 ふたりして硬直していると、社長はへらりと笑う。

「ああ、ラブの意味じゃないよ。友人としてってこと。青羽を抱きたいとか思ってないから安心して」
「皆まで言わなくていいです」