脇役だって、恋すれば

 アレルギーは確かに身体に関わる大事なことだけれど、教えてから何年も経っているのに忘れず気遣ってくれるのは素直に感動する。

 どうしよう、今さらこんな感覚を抱くのは不毛かもしれないのに……胸がときめいてしまった。

 今日のメニューにそば粉は使われていないと確認してもらえたおかげで、安心して食事を始められた。美味しいアンティパストとお酒を楽しみながら、しばし社長から私の仕事についての質問が続く。

 新涼くんもいたって普通で、だんだん緊張も解れてきた。彼らの仕事の話にも興味津々だから、こんな時間を過ごせるのはやっぱりとても貴重だ。

 でも、部長たちそっちのけで私だけ親睦を深めてよかったのだろうかと、今さらながら少々後ろめたくなる。

 社長が私を気に入ってくれたからだけど……とぼんやり思っていたとき、新涼くんに電話がかかってきた。

 私たちに断りを入れて彼が席を立つと、牛肉のタリアータにナイフを入れる社長が、なにげなく昔の話題を振ってくる。

「芦ヶ谷さんは、青羽のクラスメイトだったんだってね。学生時代から仲よかったの?」

 仲がよかったかと聞かれると微妙な気分になる。親しくしていたのはほんの数カ月で、結局気まずいまま別れてしまったし、無条件によかったとは言えない。