脇役だって、恋すれば

 昔の私は特に、ストレートロングの黒髪と眼鏡のせいで、かなりお堅い印象を持たれていた。今も髪型はそんなに変わっていないけれどダークグレージュに染めて、コンタクトにもして多少はあか抜けたと思う。

 けれど、メイクは常にナチュラルだし、目立つようなファッションもしないので地味なことに変わりはない。

 そんな私の趣味はアプリゲーム。コントローラーを巧みに操作するようなゲームも昔はやっていたけれど、今はもっぱらスマホがお供だ。

 毎晩少しずつお気に入りのそれを進めるのが、私の日課になっている。学生時代、現実逃避したくてやり始めたのがきっかけで、今や家でまったり晩酌しながらその世界に没頭するのが唯一の楽しみだ。

 休日はスウェット姿のままどこにも行かず、ゲームをしているだけの日も多い。周りの人たちもめぐちゃんと同じようなイメージを持っていたら、こんな干からびたプライベートにびっくりするかもしれない。

 が、別にどうだっていいのだ。私は他人の目を気にしなければいけないような、本物のアイドルでも芸能人でもないのだから。

 ふと、一番近くて遠い存在の彼女の姿が脳裏によぎるも、現実逃避をするのと同じように楽しいゲームのことで掻き消す。