なに雰囲気に流されそうになっているの。本人の口から聞いたじゃない、私と一緒にいる理由を。
新涼くんが優しいのは上辺だけで、本当は悪い男なのかもしれない。今こうしているのだって、手玉に取ろうとしているだけかも……。
どうしても疑念が拭えず目線を上げると、滲んだ視界に映るのは、とてもショックを受けたような彼の顔だった。
どうしてそんなに、悲しそうな顔をするの? もう、あなたがわからない。
頬を濡らしたまま戸惑っていた時、廊下のほうからガヤガヤと声が聞こえてきた。私ははっとして、咄嗟に涙を拭って荷物をバッグに詰め込む。
こんな場面を見られたらまたなにを言われるかわからない。新涼くんにまで迷惑をかけてしまうし……と一瞬心配した自分は、いまだに彼を好きなのだと実感する。
教室に入ってこようとする人が見え、私は心臓がバクバクと鳴ったまま、バッグを持ってもうひとつのドアのほうへ走る。
『芦ヶ谷!』と呼ぶ声が聞こえ、一瞬足を止めてしまいそうになるも、なんとか振り切って教室を後にした。
新涼くんが優しいのは上辺だけで、本当は悪い男なのかもしれない。今こうしているのだって、手玉に取ろうとしているだけかも……。
どうしても疑念が拭えず目線を上げると、滲んだ視界に映るのは、とてもショックを受けたような彼の顔だった。
どうしてそんなに、悲しそうな顔をするの? もう、あなたがわからない。
頬を濡らしたまま戸惑っていた時、廊下のほうからガヤガヤと声が聞こえてきた。私ははっとして、咄嗟に涙を拭って荷物をバッグに詰め込む。
こんな場面を見られたらまたなにを言われるかわからない。新涼くんにまで迷惑をかけてしまうし……と一瞬心配した自分は、いまだに彼を好きなのだと実感する。
教室に入ってこようとする人が見え、私は心臓がバクバクと鳴ったまま、バッグを持ってもうひとつのドアのほうへ走る。
『芦ヶ谷!』と呼ぶ声が聞こえ、一瞬足を止めてしまいそうになるも、なんとか振り切って教室を後にした。



