脇役だって、恋すれば

「今年も大盛況ですね。私、テトリスくらいしかできないからゲームのことは全然わかんないけど」

「レトロだなー。今も面白いのいっぱいあるんだよ」

「先輩って実はゲーマーですよね。仕事ぶりはもちろん、見た目も真面目できっちりしてそうだから、休みの日も実用書しか読んでないんじゃないかなって最初は思ってました」

「よく言われる。地味だからね」

 今日は長い髪をひとつに結んでいる頭をぽりぽりと掻いて苦笑すると、めぐちゃんは表情を変えずに「いや、先輩は可愛いっすよ」とさらっと言った。

 うぐ……本当に彼氏みたいでズキュンときたわ。

 さりげなく胸を押さえ、先ほどの発言を少し訂正しておく。

「ていうか、ゲーマーっていうほどではないからね。格ゲーとか、サバゲ―みたいなのはやらないし」
「私にとってはゲーム好きな人は皆ゲーマーなんです」

 クールに言う彼女にくすっと笑った。

 私たちはたぶん、見た目で言えば逆の印象を持たれるだろう。めぐちゃんのほうがゲームが好きそうで、私はそういうものに興味がなさそうだと。