脇役だって、恋すれば

 そうか、なんか既視感があると思ったら、秋華のなれそめはこの間やった恋愛ゲームのストーリーにそっくりなんだ。

 超ハイスペックな男性に見初められ、求婚されて、なにか裏があるスピード婚かと思いきや純粋な恋愛結婚だった……という流れが一緒。まさにヒロインなのだ。

 対する私は、そんな彼女を見守る友達のひとり。まさしくモブじゃないか。まあでも、友達の中でも仲のいいほうだと自負しているから、せめてサブキャラということにしておこうか……。

 なんてくだらないことを考えながらロビーを抜け、エントランスに出ると同時にスマホが短く振動した。

 引き出物の大きな袋を腕にかけてバッグからスマホを取り出すと、来ていたのはニュースの通知。なんだ、とスワイプして消そうとした瞬間、目を見張って二度見した。

【京葉線が発煙で終日運転見合わせ】ってどういうこと? 事件かなにかだろうか。

 私が使っている路線なので足を止めてニュースを詳しく見てみると、どうやら線路内の枕木から煙が上がっているらしい。事件ではなさそうだが復旧の目処は立っておらず、多くの人が足止めを食らって駅がごった返しているのは容易に想像できる。