──愛し合った余韻が残るベッドで、十二時ぴったりに『誕生日おめでとう』と祝ってもらえた夜を思い返しながら、私は空の上で小説に目を落としていた。
〝空にはマーマレードのようにとろけそうな夕日が浮かんでいる。あれは、僕にとっての君だ〟
〝太陽がないと草木は育たず人も生きられないように、君はなくてはならない存在なんだ〟
お気に入りの一節を指でなぞり、もう何度読んだかわからないその本を静かに閉じる。
ここに書いてあるのは、彼からの愛の言葉。これからは毎日、私のそばで囁いてほしい。
本を大切にバッグにしまい、飛行機の窓に目を向ける。着陸のアナウンスが流れ、日本の見慣れた景色が近づいてきた。
最愛の人との新生活が始まるまで、あと少し。空港で待ってくれている彼を想うと、胸が弾んで笑みがこぼれる。
甘くほろ苦い初恋から始まった、私たちの永遠の物語。いつか訪れるハッピーエンドを目指して、ふたりでゆっくり歩いていこう。
End



