脇役だって、恋すれば

 きっとそうだろうと思い、急いで玄関に向かう。セールスの可能性もなくないので、少し警戒して防犯チェーンをかけたままドアを開ける。

「Hello──」
「香瑚」

 予想していなかった声が聞こえてきて、一瞬思考が停止した。上げた目線の先に、アンニュイな髪がかかる綺麗な顔がある。

「プレゼント、直接お届けに来ました」

 ──目の前で大好きな彼が微笑んでいる。驚愕した私は思わず悲鳴を上げそうになり、無意識に片手を口元に当てた。

「えっ……え、えぇぇ!? あ、あお、ば……っ!」
「キョドりすぎ」

 おかしそうにぷっと噴き出す青羽……夢じゃないよね?

 激しく鳴り始める胸を抑え、ひとまずチェーンを外して中に入ってもらう。彼が連絡もなく突然ここへ来た理由で、浮かぶのはひとつしかない。

「嘘……まさか、誕生日だから?」
「そう。去年は電話だったけど、今年は誰よりも近くで祝いたくて。明日休みだって言ってたし」
「だからって、ここまで来る!? しかも季節真逆なのに」
「ああ、感覚バグりそう」

 いつもの気の抜けた調子で言った彼は、両手を開いて微笑みかける。

「ここまでしたくなるくらい好きなんだよ。とりあえず抱きしめさせてくれない?」

 胸が一杯になって、私は勢いよくその腕の中に飛び込んだ。感極まって涙が溢れる。