脇役だって、恋すれば

 午後六時、うきうきした気分でアパートに帰り、日本にいる時と同じように郵便ポストを覗く。が、特になにも入っておらず、ちょっぴり肩を落とした。

 明日は私の二十九回目の誕生日。実は、青羽にプレゼントをお願いしてあるのだ。

 それはなんと、彼が執筆した小説。ライトフルが立て続けにヒット作を出しているおかげで『ぼくのマーマレード』の人気も再燃し、青羽自身が書いたノベライズ版が出版されることになったというのだから驚きだ。

 ちょうど先日発売されたばかりなので、ぜひ誕生日プレゼントにサインつきで送ってほしい!と図々しくお願いしたのだった。

 国際郵便なので誕生日にきっちり届く可能性は低い。なので、数日前から少々期待してポストを覗いているのだが、今日も中は空っぽ。

 早く読みたいなぁと、うずうずしながら二階の部屋に向かった。

 帰宅してすぐ、夕飯は久々に親子丼でも作ろうかなと考えながら冷蔵庫を開ける。シドニーでも日本の食材や調味料はスーパーで簡単に手に入るのでありがたい。

 卵や鶏肉を取り出そうとした時、インターホンが鳴った。

 今日は特に誰とも約束していない……というか、同僚がここへ来ることは滅多にないし、もしかして郵便!?