脇役だって、恋すれば

「だから、ちゃんと帰ってこいよ。俺のところに」

 切実そうな声が耳元で響き、我慢も虚しく涙が込み上げてきた。

 背中に手を回してぎゅっと抱きしめ返し、熱い瞼を閉じて答える。

「もちろん。心配しないで」
「なにかあったらすぐ連絡してくれ」
「なにもなくても連絡するよ」

 短い言葉をいくつも交わし合う。昨夜もベッドで散々愛を伝え合ったけれど、それでも全然足りない。

 名残惜しさを堪えて腕の力を緩めると、憂いを帯びた笑みを浮かべる彼が、大切そうに私の髪を撫でる。

「愛してる。いつも香瑚を想ってるよ」

 紡がれる愛で寂しい心が満たされていく。ぽろぽろこぼれる涙を拭って「私も」と言い、背伸びをして唇を寄せた。

 二度目の別れも、結局湿っぽくなってしまった。けれど、心の温かさは一度目とは比較にならない。

 彼がくれる愛を支えに頑張ろう。次に会う時、一段と素敵な人になったと思ってもらえるように。