脇役だって、恋すれば

 それに、ちゃんと自分の力で道を切り開いている青羽を認めているんじゃないだろうか。私と彼の家庭環境はどこか似ていたんだなと思うと、恋人になったのも必然的なのかもしれない。

「よかったな。家族とのわだかまりがなくなって」
「うん。年を取ると変わるものだね、お互い」

 先ほどの両親を思い返すと、顔がほころぶ。特に父はずっと気難しいままだろうと思っていたから、寛大になってきたようで驚きだ。とにもかくにも、いい雰囲気で別れられてよかった。

 あっという間に入り口に着き、足を止めて青羽と向き合う。顔をしっかり見たら泣いてしまいそうだけれど、我慢して目に焼きつけておかないと。

「じゃあ、いってきます。青羽も頑張ってね」

 笑顔を作って明るく言ったものの、青羽がとても切なげな目をして私の手を引いた。すっかり慣れた頼もしい腕の中に包まれて、愛しい匂いが鼻をかすめる。

「……香瑚がこの仕事を終えたら、真っ先にやりたいことがある」
「なに?」
「その時まで内緒」

 めちゃくちゃ気になることを言う彼は、抱きしめる力を少し強める。