──まだまだ真夏のような九月上旬、キャリーケースを持って羽田空港にやってきた私は、チェックインしてから久々に全員集合した芦ヶ谷家の三人と向き合っている。
「家族総出で見送りに来るとは……」
「そりゃあ来るわよ。しばらく会えなくなるんだから」
今日も大きな伊達眼鏡をかけている姉は、当然といった調子で腕を組んだ。彼女の隣には、小柄な母とひょろりと背の高い父が並んでいる。母はともかく、父まで来るとは予想外だ。
私の隣には青羽がついてくれているけれど、彼氏を会わせるのも初めてだし妙に緊張する。そわそわしている私をよそに、母がにこやかに話し出す。
「この間見たわよ、亜瑚も出た新作発表会。ゲームの内容はよくわからないけど、すごく綺麗だったのはわかった」
綺麗だったのはゲームのグラフィックか、それとも姉の姿か。以前の私だったら後者かな……なんて卑屈に考えていたかもしれないが、今はどちらでもいいやと開き直って胸を張る。
「でしょう。そう感じてもらえるようにあれこれ頑張ったんだから」



