脇役だって、恋すれば

 秋華はとても素敵な女性だけれど、家柄でいったら私たちと同等の庶民だし、仕事も社食の調理員なので本来なら社長に近づくことすら難しいはず。しかも交際期間約二カ月のスピード婚だったので、さすがに詐欺を疑うレベルだった。

 しかし、心配になって時々電話をしてみると、返ってくるのはいつも一切淀みのない声。話を聞くうちに騙されているわけでも、盲目になっているわけでもなく、本当に愛し合っているんだなと徐々に信じられるようになった。

 今日のふたりを見て、きっと私以外のふたりの友人たちも納得しただろう。旦那様が頻繁に秋華を見つめていて、その目がとても愛しそうだし、彼女からも幸せオーラが溢れているから。

 しばし豪華な料理をいただいた後、タイミングを見計らって三人で秋華がいる高砂へ向かった。クールで超絶美形な旦那様にご挨拶をした後、隣に座る秋華に群がる私たち。

「秋華ちゃん、おめでとう! めっちゃ綺麗だよ~」
「旦那さんもエグいほどのイケメンだし! しかもあのシェーレの社長様だなんて……ずるいぞー、玉の輿羨ましすぎるー!」
「心の声が大きいな」

 本音を吐露する友達にツッコむ秋華は、嬉しそうな笑顔で「でもありがとう」とお礼を言った。