脇役だって、恋すれば

　普段はイベントの企画を担当しているのだが、今日は人員が足りないため現場に駆り出されてしまった。

　土日は関係なくなるし、朝から晩まで働き詰めなので、こういうところがイベント会社が激務だと言われる所以なのだろう。

　とはいえ、グランウィッシュはブラックなわけではなく、ちゃんと休みは振り替えられるし福利厚生もしっかりしている会社だ。大学を卒業して新卒で入社し、二十六歳の今まで大きな問題はなく充実した日々を過ごしている。

　今日のイベントも担当者と打ち合わせを重ね、コンセプトに合わせた会場のデザイン施工から運営までうちの会社が請け負っている。

　まだ責任者でもない私が関わったのはほんの一部だけれど、企画したものが実現され、訪れた人たちの満足げな姿を見るとやりがいを感じるのだ。

　私の隣では、同じ企画部の三歳年下のめぐちゃんことめぐ美ちゃんが、組んだ手を後ろに伸ばしてストレッチしている。

　身長百六十センチの私より少し背が高く、ショートボブの髪型も性格もボーイッシュなので疑似彼氏のようだと常々思う。