脇役だって、恋すれば

 最後のまとめのトークになったところで、姉が表情を輝かせて感想を言う。

「とにかく映像がめちゃくちゃ綺麗でしたね! 特に空は、夕焼けや雨雲がリアルで。世界一綺麗だって言われてるニュージーランドの空みたいでした」
「へぇ〜、ニュージーランド行ったことあるんですか」
「あ、ないんですけど」
「ないんかい!」

 テンポのいい掛け合いが面白くて、私もさっきからずっと笑っているのだが、ふいに姉が真面目な調子で話し出す。

「演出のおかげもあって臨場感がすごかったですし、ゲームの世界がより魅力的に感じられてわくわくさせられました。この配信を見ている方々にも伝わったんじゃないかな。私みたいにゲームはあまりしない人でも絶対楽しめると思うので、ぜひやってみてほしいですね」

 さりげなく私たちの仕事を褒めてもらえて、ちょっぴり胸が高揚する。姉に演出の話は一切していないにもかかわらず、空に注目してもらえたのも純粋に嬉しい。

 捨てたもんじゃないな。引き立て役の、この仕事も。

 達成感と満足感を抱いてステージを眺めていると、いつの間にか隣に藤井さんが来ていたことに気づく。