脇役だって、恋すれば

「だから、本当にわがままだけど……待っていてほしい。帰ってくるまで、私のこと、好きなままでいてほしい」

 涙をなみなみと溜め、震える声で頼む彼女に、胸がいっぱいになって手を伸ばした。ネガティブじゃなく、俺を望んでくれている言葉が出てきたことが嬉しくて、安堵する。

「当たり前だ。香瑚以外に好きな人なんてできないって言っただろ」

 愛しいぬくもりを抱きしめて、自分自身も励ますように言葉を紡ぐ。

「ちゃんと毎日連絡して、まとまった休みができたら会いに行く。電話越しでも愛は伝えられるし、誕生日も真っ先に祝うよ」

 肩の辺りがぽろぽろとこぼれた涙で湿っていく。「時差計算しないと」とぼそっと呟くと、香瑚は泣きながら笑った。

「近くにいられないのはすげぇ寂しいけど、あの頃とは違う。心が繋がってるんだから、なにがあっても大丈夫」
「うん、そうだね。ありがとう」

 しっかりと頷く彼女の頬を両手で拭い、そのまま唇を重ねた。

 同じ気持ちだと確認できているだけで、こんなにも心持ちが違う。これからふたりで生きていく長い将来を見据えていればなおさら、その未来のために我慢できるだろう。