──爽やかな青のグラデーションが綺麗なカラードレスに身を包んだ新婦と、高貴な雰囲気を纏ったシルバーのタキシード姿の新郎がゴージャスなケーキにゆっくりナイフを入れる。
とっても幸せそうな美男美女のふたりを写真に納めて拍手し、感慨深い気持ちになる私の脳裏に遠い日の記憶がよぎった。
新婦の秋華は高校時代、私に姉のことを聞かなかった友人のひとり。
とっても性格のいい子で、私が困っているのを察して声をかけてくれた。居心地がよく、いつの間にか一緒に勉強をしたり休日に遊んだりする仲になっていたのだ。
そういうところが新涼くんと似ていたんだよな……と、どうしても約二週間前のイベントで見た彼を思い出してしまう。大好きな友達の結婚式だというのに、別のことを考えて胸を痛ませているのは少々罪悪感を覚える。
軽く頭を振って彼の姿を掻き消し、披露宴を楽しむべく思考を切り替える。こんな最高級ホテルで食事する機会なんて滅多にないし、しっかり味わっておかないと。
秋華の結婚相手は、医療機器メーカーの国内最大手である『シェーレ』の、まさかの社長様なのだ。つい数カ月前にこの報告を聞いた私たち高校の同級生が、悲鳴にも似た声をあげたのは言うまでもない。



