脇役だって、恋すれば

「大きな賭けだし、最初からうまくいくなんて思ってませんけど、これが一番自分に合ってるんじゃないかと」

 フリーのシナリオライターになれば、仕事を選べるしある程度の自由が利く。今後、案件に困ることもあるかもしれないが、ライトフルにいる間に実績や人脈は作れているので、決して無謀な挑戦ではないだろう。

 それを理解しているであろう社長の表情も解れていく。

「じゃあ、いつかまた一緒にできるかもしれないんだな」
「そのつもりです」

 そう、ライトフルとの関係もこれきりではなくなる。もっと成長してから、また一緒に作品を作ることも可能なのだ。フリーになることは、俺にとってはデメリットよりメリットのほうが大きい。

 社長は納得と安堵が混ざったような顔で、快くエールを送ってくれる。

「頑張れよ。青羽は引く手数多だろうから食いっぱぐれはしなさそうだが、万が一失敗したらまた拾ってやる」
「捨て犬にはなりませんよ、意地でも」

 茶化し合って、気兼ねなく笑った。

 距離が離れたように感じていたのは、俺自身も知らず知らずのうちに変わっていたからなのかもしれない。でも、これはきっと前に進むために必要な変化だ。

 それからも昔のように作品について語り合い、気持ちよく酒を酌み交わした。