「まあ、たまには。社長には特別にもなかを買ってきました」
「ありがとう。……なぜもなか?」
「絶対食べないでしょ。だからですよ」
祖母とよく一緒に食べた思い出の品で、老舗和菓子屋の定番商品でもあるので、この機会に食べてもらいたくて買ったのだ。が、社長に最中は似合わないな、という共通認識でお互いに笑った。
「今渡してもいいんですけど……後でデスクに持っていきます。話もあるんで」
最後のひと言が意味深だったせいか、社長がなにかを悟ったように一度真顔で俺を見た。
ほんの少し思案するような間を置いて、彼は口角を上げる。
「なら、仕事終わりに飲みに行こう。ここだとなにかと落ち着かないだろうし」
社長のデスクはガラスで仕切られてはいるものの、社内の風通しをよくするため別部署と同じフロアに設置されている。話の内容は外に聞こえないが、中の様子は見えてしまい若干気にはなるので、その誘いを承諾した。
今日のタスクをなんとか終えた午後六時半、社長の提案でやってきたのは会社から徒歩十分の場所にある昔ながらの居酒屋。
柔らかくてしっかりした味噌味のモツ煮が名物の店だ。 古きよき店内のカウンター席に座ってそれを注文し、ビールで乾杯した。
「ありがとう。……なぜもなか?」
「絶対食べないでしょ。だからですよ」
祖母とよく一緒に食べた思い出の品で、老舗和菓子屋の定番商品でもあるので、この機会に食べてもらいたくて買ったのだ。が、社長に最中は似合わないな、という共通認識でお互いに笑った。
「今渡してもいいんですけど……後でデスクに持っていきます。話もあるんで」
最後のひと言が意味深だったせいか、社長がなにかを悟ったように一度真顔で俺を見た。
ほんの少し思案するような間を置いて、彼は口角を上げる。
「なら、仕事終わりに飲みに行こう。ここだとなにかと落ち着かないだろうし」
社長のデスクはガラスで仕切られてはいるものの、社内の風通しをよくするため別部署と同じフロアに設置されている。話の内容は外に聞こえないが、中の様子は見えてしまい若干気にはなるので、その誘いを承諾した。
今日のタスクをなんとか終えた午後六時半、社長の提案でやってきたのは会社から徒歩十分の場所にある昔ながらの居酒屋。
柔らかくてしっかりした味噌味のモツ煮が名物の店だ。 古きよき店内のカウンター席に座ってそれを注文し、ビールで乾杯した。



