『それで諦められるなら、八年も想ってないよ』
わずかに自嘲気味の笑みをこぼすと、藤井さんは『八年……!?』と目を丸くし、徐々にまつ毛を伏せてうなだれた。そんなに長い間抱いている恋心には、さすがに勝てないと悟ったのかもしれない。
これに懲りてもう香瑚に悪さをしないことを願いつつ、もうひとつの心配事のほうに意識を移す。
今夜、ふたりは本当に会おうとしているのかどうか。念のため確かめておきたくて、昼休憩の後廊下を歩く社長を呼び止めた。
『社長、今夜マンションで香瑚と会うつもりなんですか?』
俺がそう問いかけると、彼は一瞬ぽかんとした。今思えば約束はしていなかったのだから、なぜそんなふうに聞くのかわからなかっただろう。
しかし、頭の回転が早い彼はすぐに機転を利かせ、挑発的に口角を上げてこう言ったのだ。
『彼女次第かな。来てくれたら、帰す気はないよ』
香瑚が会いに行ったら最後、確実に奪われる。危機感を覚えた俺は、思いっきり敵対心を露わにして『絶対に行かせませんから』と宣言した。
とはいえ、この時点ではまだ半信半疑だった。藤井さんが俺を惑わそうとしているのでは、という考えが強かったから。
わずかに自嘲気味の笑みをこぼすと、藤井さんは『八年……!?』と目を丸くし、徐々にまつ毛を伏せてうなだれた。そんなに長い間抱いている恋心には、さすがに勝てないと悟ったのかもしれない。
これに懲りてもう香瑚に悪さをしないことを願いつつ、もうひとつの心配事のほうに意識を移す。
今夜、ふたりは本当に会おうとしているのかどうか。念のため確かめておきたくて、昼休憩の後廊下を歩く社長を呼び止めた。
『社長、今夜マンションで香瑚と会うつもりなんですか?』
俺がそう問いかけると、彼は一瞬ぽかんとした。今思えば約束はしていなかったのだから、なぜそんなふうに聞くのかわからなかっただろう。
しかし、頭の回転が早い彼はすぐに機転を利かせ、挑発的に口角を上げてこう言ったのだ。
『彼女次第かな。来てくれたら、帰す気はないよ』
香瑚が会いに行ったら最後、確実に奪われる。危機感を覚えた俺は、思いっきり敵対心を露わにして『絶対に行かせませんから』と宣言した。
とはいえ、この時点ではまだ半信半疑だった。藤井さんが俺を惑わそうとしているのでは、という考えが強かったから。



