「あそこにお土産あるから持っていっていいよ」
「いりません」
「え」
急に仏頂面になって即答されたので、俺はカフェスペースを指差したまま動きを止める。彼女はますます険しい表情で、腕を組んで俺の顔を覗き込んでくる。
「どぉーせ芦ヶ谷さんとデートしてきたんでしょう? いりませんよ、ふたり仲よく選んだお土産なんてっ」
そう吐き捨て、ふんっとそっぽを向いて歩き出す。カツカツとヒールの音を鳴らして去っていく彼女を、俺は苦笑を漏らして見送った。なんて勘がいいんだ。
──香瑚たちが社食に来たあの日、藤井さんが悪意のある言葉を投げていたのはおそらく確かだろう。
香瑚は気丈に振る舞っていたが、昔と同じ悲しそうな顔をした瞬間を見逃さなかったし、なにもなければ『あの頃の弱い自分とは、もうサヨナラするから』なんて言わないはずだから。
藤井さんに少しお灸を据えた後、彼女は俺を追いかけてきてシャツの裾を軽く掴み、人気のない階段のほうへと促した。そこで向き合うと、悔しさを露わにした顔で俺を見上げる。
『なんで、そんなに芦ヶ谷さんの肩を持つんですか!? 私のことは……信じてくれないんですか?』
「いりません」
「え」
急に仏頂面になって即答されたので、俺はカフェスペースを指差したまま動きを止める。彼女はますます険しい表情で、腕を組んで俺の顔を覗き込んでくる。
「どぉーせ芦ヶ谷さんとデートしてきたんでしょう? いりませんよ、ふたり仲よく選んだお土産なんてっ」
そう吐き捨て、ふんっとそっぽを向いて歩き出す。カツカツとヒールの音を鳴らして去っていく彼女を、俺は苦笑を漏らして見送った。なんて勘がいいんだ。
──香瑚たちが社食に来たあの日、藤井さんが悪意のある言葉を投げていたのはおそらく確かだろう。
香瑚は気丈に振る舞っていたが、昔と同じ悲しそうな顔をした瞬間を見逃さなかったし、なにもなければ『あの頃の弱い自分とは、もうサヨナラするから』なんて言わないはずだから。
藤井さんに少しお灸を据えた後、彼女は俺を追いかけてきてシャツの裾を軽く掴み、人気のない階段のほうへと促した。そこで向き合うと、悔しさを露わにした顔で俺を見上げる。
『なんで、そんなに芦ヶ谷さんの肩を持つんですか!? 私のことは……信じてくれないんですか?』



