脇役だって、恋すれば

「……あの時の続き、してもいい?」

 もちろん拒む理由などなく、しっかりと頷く。遠い日の放課後と同じようで違う、甘く切ない光の中で唇を重ねた。

 終わったはずの恋が、あの頃よりも糖度を上げて再びきらきらと輝き出した。



 二度目のキスは、ただひたすらに甘い。その余韻を抱いたまま、私たちは幻想的なマジックアワーを見届けて言葉少なに車に戻った。

 そして帰り道の途中、たまたま夜景が綺麗なポイントを見つけ、青羽が道の端に車を停車させた。静かにそれを眺めている私たちは、きっと同じことを考えている。

「帰りたくないな……」
「俺も、帰したくない」

 お互いにぽつりとこぼし、目を見合わせた直後、どちらからともなく唇を寄せた。

 ただ触れるだけじゃ物足りなくて、何度も角度を変えて舌を絡める。先ほどとは違う、求め合うような激しいキスに息が上がる。

  唇を離して目を開けると、彼の余裕のなさそうな顔が間近にあり、動悸が激しくなるばかり。

 青羽はぐっと我慢するように目を逸らして体勢を戻し、「……家までは無理だな」と呟いてハンドルを握った。