脇役だって、恋すれば


 あの後、私に合鍵の場所を教えた青羽は、目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。よっぽど疲れが溜まっていたのだろう。

 綺麗な寝顔をしばし見つめてから、ありがたく合鍵を使わせてもらい、無事帰途についた。

 翌朝には【すっかり熱下がった。本当にありがとう】と、お礼のメッセージが来てほっとした。熱以外の不調はなかったようなので、やっぱり風邪ではなかったのだろうけど、もうあまり無理はしないでほしい。

 そのままやり取りを続け、来週の土曜日はデートをしようと約束した。今度は疑似でも高級でもなく、等身大のデートができそう。

 それまでの間に英会話教室にも行き、初めてレッスンを体験したのだが、想像以上に楽しくて充実した時間を過ごせた。たまたま自分と同じくらいのレベルの人が一緒だったので、気後れしなかったのもよかった。

 同じことの繰り返しだった日々が、青羽と恋人同士になってから毎日新鮮に感じるし、気分もフットワークも軽くなる。愛されているといろんな力が湧いてくるんだな。


 そうして迎えた約束の土曜日、メイクも服もはりきってデート仕様にした。

 車で迎えに来た青羽は、普段あまり着ないノースリーブのワンピースを纏い、ルーズに髪を編みおろした私を見て「可愛い……」と頬を染めてくれた。