脇役だって、恋すれば

 青羽は繋いだ手を優しく引っ張り、彼の胸に倒れる私を大切そうに抱く。

「香瑚の言葉は薬みたいだな。すーっと入ってきて、心をラクにしてくれる。ありがとう」

 髪を撫でる彼の穏やかな声が、心地よい心音と共に聞こえてきて、こちらまで癒される。

「自分の中である程度の答えは出てたけど、香瑚に背中を押してもらえた。こうしてあの人のお気に入りを奪った時点で、もう遠慮する必要はないしな」

 いたずらっぽく口角を上げる彼は、なんだか吹っ切れたみたいだ。慶吾さんには本当に申し訳ないので、私は苦笑するしかないけれど。

 青羽は私を抱いたまま、さっきよりもしっかりとした声で言う。

「万が一、俺のした選択が破滅ルートだったとしても、香瑚がいれば乗り越える力が湧いてくる。だから、これからもそばにいて」

 自分を必要としてくれる言葉に、どきりと胸が鳴った。

 社内公募のメールが頭によぎり、一瞬答えに迷ったのを悟られないよう、顔を上げてまっすぐ目を見つめる。

「私はなにがあっても味方だよ。ずっと青羽がそうしてくれてたみたいに」

〝そばにいる〟とはっきり言えなかったものの、青羽は穏やかに微笑み、私の頭を自分のほうへ引き寄せて額にキスをした。

 幸せで、心が満たされて、なのになぜか涙が出そうになる。もちろん私も、ずっとずっと一緒にいたい。