脇役だって、恋すれば

 自分のやりたいことか、大切な人か。どちらを優先するか悩む気持ちはよくわかる。正解も不正解もないけれど、私は彼が後悔しない道を選べるように手助けしてあげたい。

「なんとなく……慶吾さんはわかってる気がする。青羽が考えてること。疑似デートした時に、『青羽は肝心なところで遠慮するからな』って言ってたから」

 彼は意外そうな顔をしてこちらを向き、組んでいた手を離したので私がその手を取る。

「部外者の私が口出しするべきじゃないけど、チャンスがあるなら一度挑戦してみてもいいと思う。それは裏切り行為なんかじゃないよ。道は自分で決めるものだから。〝人生という物語の中では、誰もが脇役じゃなく主人公〟なんでしょ?」

 イベントの時に講師として青羽自身が言っていた言葉を口にすると、彼の瞳がはっとしたように見開かれた。

 どの選択をしてもゲームのようにバッドエンドになるわけじゃないから、心が望むままに進むのが一番じゃないだろうか。

「でもその前に、慶吾さんに打ち明けてみたらいいんじゃないかな。青羽が話すのを待ってるかも。大切な人には本音をさらけ出してほしいって思うものだから。私たちもそうだったじゃない」

 相手が誰であれ、本当の気持ちは話さなければ伝わらないと学んだばかりだ。ふわりと微笑みかけると、彼の表情も柔らかく解れていった。