脇役だって、恋すれば

「……正直、ライトフルの路線はだんだん自分が作りたいものから逸れてきてるんだ」

 頭の下で手を組んだ青羽がゆっくりと話し始め、私は静かに耳を傾ける。

「求められたものを書くのがプロだから、好き勝手にやれるわけないってもちろんわかってる。でも、どうしても自分の意見を呑み込んでばっかりだと今回みたいにスランプになるし、環境を変えたほうがうまくいくんじゃないかって思う」

 趣味を仕事にしないほうがいいと言われる、ひとつの理由がそれなのだろう。

 プロになったら売れるものを求められ、予算や流行によっていろいろな制限が出てくる。それを苦しく感じてしまう人も少なくないはず。

 でも会社によって自由度は違うはずだから、今より青羽に合う場所があるかもしれない。それで悩んでいるらしい彼は、天井をぼんやり見つめて複雑そうな表情をする。

「ただ、社長は俺が駆け出しの頃からずっと一緒にやってきた、運命共同体みたいな人だから。ライトフルを出るっていうのは、社長を裏切ることになる気がして踏ん切りがつかないんだよ」

 そうか……やっぱり青羽は縛られているわけじゃない。慶吾さんへの恩と情があるから迷っているのだ。