脇役だって、恋すれば


 ようやく想いが通じ合い、あとちょっとだけ……と駄々をこねるように抱き合っていた時、気持ちも涙も落ち着いてきた私は違和感を覚えた。

「……ねえ青羽、身体熱くない? まだ息も荒いし」

 走ってきたせいかと思ったのだが、いまだに首元も熱くて息苦しそうなのでおかしい。濡れた頬を拭って身体を離し、汗ばんだ頬に両手を伸ばす。

「ほら、顔も赤いし目がとろんってしてる。熱あるでしょ」
「言われてみれば、すっげぇ身体怠い……。体力落ちただけか、寝不足のせいかと」

 青羽はぼーっとした調子で、くしゃっと髪に手を差し込んだ。

 慶吾さんのところへ行くのを阻止するのに必死で気づかなかったのかなと思うと、胸が締めつけられる。

「早く帰ろ。家まで付き添うよ。英会話教室は今日じゃなくてもいいから」

 きっと昼間から体調はおかしかったはずなのに、ここまで来させてしまった罪悪感もある。それ以上に、具合の悪い彼を放っておきたくなくてついていこうとするも、青羽はへらっと笑って遠慮する。

「大丈夫だよ。子供じゃないんだからひとりで帰れるって」
「私が一緒にいたいの!」