もちろんOKして、ふたりでいつもの電車から乗り継いでなんとなく海を目指してみた。
とても眺めのいい駅があったので降りてみたら、なんとそこは工場の敷地内で、関係者以外は駅から出られないという変わったところ。
最初は焦ったものの、わりと景色目当てで降りる人もいたので、結果オーライだねとふたりして笑った。
目の前には夕日できらきらと輝く雄大な海、すぐ隣には肩の力を抜いて話せる彼。駅のホームとは思えない絶景を眺めながら、この時間がずっと続けばいいのにと密かに願った。
この時には、いつの間にか芽を出していた私の恋心は、すでに満開になるくらいになっていたと思う。暑くて長い夏と、うろこ雲が浮かぶ秋を過ぎ、木々が橙色に変わる冬の入り口まで、徐々に仲よくなっている実感もあった。
しかし、私たちが話しているのをよく思わない女子もいる。『青羽ほどのイケメンが、なんで香瑚と仲よくしてるんだろう。亜瑚ちゃんなら納得だけど』と、女子たちが陰で不満げにこぼしている愚痴を何度か耳にした。
当然ながら新涼くんを気に入っている女子は多い。その子たちからしたら、私みたいなモブが親しくするのは許せないのだろう。
それは理解できるけれど……ここでも姉と比べられるのか。こんな自分も捨てたもんじゃないと、やっと思えるようになってきていたのに。
とても眺めのいい駅があったので降りてみたら、なんとそこは工場の敷地内で、関係者以外は駅から出られないという変わったところ。
最初は焦ったものの、わりと景色目当てで降りる人もいたので、結果オーライだねとふたりして笑った。
目の前には夕日できらきらと輝く雄大な海、すぐ隣には肩の力を抜いて話せる彼。駅のホームとは思えない絶景を眺めながら、この時間がずっと続けばいいのにと密かに願った。
この時には、いつの間にか芽を出していた私の恋心は、すでに満開になるくらいになっていたと思う。暑くて長い夏と、うろこ雲が浮かぶ秋を過ぎ、木々が橙色に変わる冬の入り口まで、徐々に仲よくなっている実感もあった。
しかし、私たちが話しているのをよく思わない女子もいる。『青羽ほどのイケメンが、なんで香瑚と仲よくしてるんだろう。亜瑚ちゃんなら納得だけど』と、女子たちが陰で不満げにこぼしている愚痴を何度か耳にした。
当然ながら新涼くんを気に入っている女子は多い。その子たちからしたら、私みたいなモブが親しくするのは許せないのだろう。
それは理解できるけれど……ここでも姉と比べられるのか。こんな自分も捨てたもんじゃないと、やっと思えるようになってきていたのに。



