脇役だって、恋すれば

 彼のファンが多いのは喜ばしいことなのに、自分だけがよさを知っていたい気持ちになるのもわからなくはない。

 でも、青羽のことを本気で心配しているようなので、噂されているほどネガティブな問題ではないのではと伝えておく。

「きっと大丈夫ですよ。無理やり書かされていたら、あんなに素敵なストーリーは生み出せませんから。社長と新涼さんの間には、周りにはわからない信頼関係みたいなものができあがっているのかもしれません」

 安心させるように微笑んだものの、それに反して藤井さんの表情はみるみる険しくなっていく。

「……わかったようなこと言わないでください。同級生だからって、いい理解者気取りですか?」

 彼女の口調が刺々しいものに変わり、私は目を見張った。

 私たちが同級生だと知っていたとは。おそらく嫉妬のせいで攻撃的になっているのだろう。もしかしたら、私がライバルになるということにも感づいているのかもしれない。

「知ってたんですね、私たちのこと……」
「ええ。新涼さん、私にはなんでも教えてくれるので。学生時代、お姉さん絡みでいろいろあったようですね。あまり仲がよろしくないんですか? 亜瑚さんと」

 優位に立ったような調子で言われ、ドクンと心臓が重い音をたてる。