脇役だって、恋すれば

「そっか、あらゆる言語にも対応しなきゃいけないのか。何カ国語まで設定しているんですか?」
「今のところだいたい七カ国です。今後リリースする地域を全世界に広げていく予定なので、さらに増えると思いますが」
「さすが、スケールが大きいですね」

 唸る彼と同じく、私も感服して頷いた。青羽の作った物語が世界中に広がると思うと、本当に胸が高揚する。

 すると、私たちの話し声に反応したアラブ系の美女がこちらを向き、にこやかに軽く手を挙げてなにか言葉を発した。

 なんと言われたのかわからず、三人そろってとりあえず笑顔を返していると、部長が私に耳打ちしてくる。

「俺アイラブユーくらいしかわからないから、芦ヶ谷が翻訳してくれ」
「私が勉強してるのは英語だけですよ!」

 私たちのやり取りにくすくすと笑う慶吾さんが、再び歩き出しながら「彼女が言ったのは『ごゆっくり』みたいな意味だと思いますよ」と教えてくれた。

 そうして一旦開発部のオフィスを出てから、慶吾さんが私に話しかけてくる。

「芦ヶ谷さん、英語を勉強しているんですか」 「あ、はい。といっても、独学で初心者レベルです。そろそろ英会話教室にも通いたいんですが、どこがいいか決め兼ねていて」