脇役だって、恋すれば

 「よろしくお願いいたします」と返してちらりと見上げると、彼は意味ありげに微笑んでいる。やっぱり自意識過剰ではないのかも……。

 担当の方々とは一旦別れた後、なんとか平静を保って慶吾さんの後に続いていく。ゲーム会社の貴重なオフィスを見学できるのは純粋にわくわくして、心配せずとも私の興味は自然にそちらへ移っていった。

 映像を見せてもらう前に、その隣にある開発部のオフィスを見せてもらうことになった。仕事の邪魔にならないよう、静かにフロアを歩きながら周りを見回す。

 ここに青羽の姿はない。開発部はふたつに分かれていて、それぞれ別のゲームを作っているようなので、彼はもうひとつのオフィスにいるのだろう。またしても仕事中の姿を見られなくて、ちょっぴり残念だ。

 社員の皆さんは何度もキャラの動きをテストしたり、デザインの細かい部分やバグを修正したりと、真剣にPCと向き合っている。

 その中で、ひとりアラビア語のような会話文をチェックしている外国人の女性社員がいた。

 私と同じところを見ていた男の先輩が、眼鏡のブリッジを押し上げて小声で呟く。