脇役だって、恋すれば


 翌週の水曜日、いつもの運営チームでライトフルとの二度目の打ち合わせをしに本社へ出向いた。

 ゲームの世界観に合わせた会場造りをしていくために、今日はまだ非公開の予告映像を見せてもらったり、会場や必要な機材などを確認したりする。

 その予定なのだが、私たちの前に現れたのは担当さんたちだけでなく、なんと慶吾さんもいるではないか。彼はいつもの麗しい姿でスマートに挨拶をする。

「前回はご挨拶できず申し訳ございませんでした。そのお詫び……というほどではありませんが、打ち合わせのついでに私が社内をご案内いたします」
「それはありがとうございます。いや〜、須栗社長直々に案内していただけるなんて光栄ですよ」

 部長たちは単純に喜んでいるけれど、あの電話の後なので私はとても気まずい。

 まさか慶吾さん、私と関わるために自ら案内をしようと……? いや、それはさすがに自意識過剰か。

 なんとなく目を合わせられずにいると、慶吾さんは私の顔を覗き込むようにして「よろしく、芦ヶ谷さん」と言う。

 今回の件は彼が私に声をかけたのがきっかけだと皆知っているから、こうやって話しかけられても特に気にしていない様子だが、私はどぎまぎしてしまう。ちゃんと苗字で呼んでくれたのはほっとするけれども。