脇役だって、恋すれば

 複雑な気持ちを抱えているのは間違いないだろうが、根本にある愛はきっと変わっていないはず。亜瑚さんの愚痴や悪口は、香瑚から一度も聞いたことがないのだから。

 亜瑚さんは目線を上げ、少しだけほっとしたように微笑む。

「香瑚のこと、よく理解してくれているのね。青羽くんみたいな人がそばにいてくれてよかった。ありがとう」

 礼を言われるようなことはなにもしていない。むしろ当時は拒否されたのだが、と苦笑が漏れる。

「そばに……いたいんですけどね、これからも」

 つい本音をぽつりとこぼすと、亜瑚さんは大きな目をぱちくりさせて両手を口に当てる。

「えっ、今の……プロポーズ!?」
「ではないです」
「香瑚ったらこんなに想われて……羨ましい〜! 一生一緒にいてやって〜」
「俺の話聞いてます?」

 嬉しそうに頬を染めてひとり盛り上がる亜瑚さんに、俺は苦笑するしかなかった。

 ツッコミどころ満載だが、この人のこういう明るさに皆惹かれるんだろうな。いつの間にか呼び方が〝青羽くん〟になっているし。

 とりあえず、亜瑚さんは妹愛に溢れているのだということがよくわかった。香瑚もいつか、わだかまりがなくなってお姉さんに甘えられることを願う。