脇役だって、恋すれば

 まさか、香瑚自身も誤解していた?

 俺が男子たちに適当に言っていたのをどこかで耳に挟んだとしたら、利用されていると思うのも無理はない。急に態度が変わったのはそのせいだったのでは……。

 今さらながら大きな心当たりがあったことに気づき、思いっきり頭を抱えたくなる。幻滅されてしまったのならもうどうにもならないだろうと、考えることを放棄したあの頃の自分を殴りたい。

 今度香瑚に会ったら話してみようか。もしこの予想が関係なくただただ嫌われていた場合、当時を思い出させてまた気まずくなってしまう可能性もある。それは避けたいが、誤解があるならもちろん解きたい。

 頭の中でぐるぐる考えを巡らせていると、話を聞き終えた亜瑚さんは申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「そんなことがあったのね。なら、避けられるのも無理ないか。恨まれてるかな……」

 意気消沈してテーブルに目線を落とす彼女に、昔の香瑚を思い返しながら俺なりの考えを伝える。

「亜瑚さんのこと、自慢の姉だって言ってましたよ。それは本心だと思います。でもあなたの話をする時、あいつはいつも寂しそうに笑ってました。たぶん周りのせいで距離ができてしまっているだけで、彼女自身は亜瑚さんが今も好きなんだと思います」