脇役だって、恋すれば

 ゲストの候補に亜瑚さんの名が挙がり喜んでいた藤井さんが、そんなふうに言うものだから香瑚のことが心配になった。

 彼女の間柄が知れ渡ったり、高校時代のようにあれこれ頼まれたら、また嫌な思いをするかもしれない。

「芦ヶ谷さんに頼むのは迷惑になるからやめておけ。オファーはこっちでするって決めたんだから」

 ストップをかけると、藤井さんは神妙な顔になって仕事とは特に関係のないことを口にする。

「新涼さん、芦ヶ谷さんと知り合いですよね? この間、打ち合わせの後一緒にいるのを見たので」
「ああ……同級生だよ、高校の」

 どうやら、奇妙な三人での食事会を行うことに決まったあの場面を見ていたらしい。

 俺と香瑚の関係は別に知られても構わないので教えると、彼女はなにか思案している様子で「そうなんですね~……」と頷いていた。

 とにかく香瑚に迷惑がかからないよう、芸能人の家族にもいろいろな苦労があるようだとざっくり話し、くれぐれも困らせたり失礼のないようにと忠告しておいた。お節介かもしれないが、藤井さんの性格を考えると懸念があったのだ。