脇役だって、恋すれば

 最初はお互いぎこちなさがあったものの、俺は再会できた奇跡を無駄にしたくなくて、あの頃のわだかまりをなくすべく話をしようとした。

 強気で押してみると、時間が解決してくれた部分もあったのか、香瑚は俺と話すことを嫌がりはしなかった。

 あの頃よりさらに綺麗で明るくなった彼女は、俺の心にくすぶっていた微かな火種をみるみる大きな炎に変えていく。

 キスをしたあの時にきちんと告白していたら、なにか違っていただろうかと何度も後悔した。急に俺への態度を変えた理由も、もっとちゃんと聞くべきだったと思う。

 大人になった今、もしもう一度向き合えるならやり直したい。彼女もそう望んでくれないだろうか──。

 しかし、期待が膨らんだところで須栗社長が現れたのは完全に想定外だ。せっかくふたりで話すチャンスが訪れたというのに。

 とりあえず連絡できるようになってよかったが、少しの不満を抱いたまま香瑚を家に送り届けて助手席に乗り込むと、社長が意味深な笑みを浮かべて言う。

「いい子だね、芦ヶ谷さん。実は男に興味があるんじゃないかと思われている、あの青羽が特別気に入ってるだけあるな」
「それ社長が思ってるだけでしょう」