「いつもここで勉強してるんですか?」
「うん、当番の日はね。受付しながら宿題してる」
図書室の受付の中に入ると、名倉くんは物珍しげにキョロキョロと周りを見回した。
図書室の受付は、基本いつも1人でやっているけど、一応2人でやる想定でスペースや椅子が確保されている。
どうせそんなに人も来ないし、ここで教えちゃおう、と思って連れてきてしまった。
まぁ、問題ないよね。
「ここ座っていいよ」
「ありがとうございます」
受付に並んで座って、早速、教科書とノートを取り出す。
「今って、英語何やってるの?」
「なんか文型?SVOとかCとか、それが中学の時より複雑になってて」
「あぁこれね〜」
教科書を見せてもらって、去年の勉強を思い出す。
「授業で聞いて分かった気がするのに、問題解こうとすると分かんなくなっちゃうんですよ」
そう嘆く名倉くんの質問に、拙い説明でなんとか答えていく。
「あーそっか、ほんとはここにwhichが入るけど省略されてるってことかぁ」
「そう。こうやって()つけたり矢印引いたりすると分かりやすくていいでしょ?」
「はい、めちゃくちゃ分かりやすいです!」
ニコッと笑った名倉くんに笑い返した時、ふと視線を感じて目を上げた。
するとそこにいたのは…
「村井先輩、」
目が合うと、先輩はちょっと気まずそうにしながらも近づいてきた。
「お疲れさま」
「お疲れさまです…」
まだ失恋から立ち直ってない状況で、村井先輩に会っちゃうなんて。
「ごめん、バレないように通ろうと思ったんだけど」
「え?」
「いや…邪魔しちゃ悪いかなって」
私の隣をチラッと見た村井先輩。
「えっ、や、そういうんじゃ、」
反射的に否定してから気づく。
否定したところで、私はもう失恋してるんだし、意味ないんだった…
地味に傷ついてる私の横で、名倉くんが村井先輩に会釈をして、先輩もそれに返す。
「…じゃあ行くね」
「あ、はい」
多くは会話せず、村井先輩は図書室を出て行った。



