妖の桜姫

その日の夜

「んっ···」
美桜が目覚めたのは
月の位置が高く上り始めた頃。

枕元では鈴がぐっすりと眠っていた。
(私気絶したの?)

美桜は起き上がると
ふと廊下へ視線を向ける。
そこには片膝を立て
座り込み、外を眺めていた灯鬼が。

「起きたのか」
と灯鬼は美桜に視線を送る。


「私··気絶したの?」

美桜の質問に灯鬼は
「あぁ。力を使ったこと覚えてないのか?」
「なにも···」
「やっぱり無意識だったか。」

(力って···?)
「えっと··灯··鬼··さん?」
「灯鬼でいい」
「···灯鬼、力ってなんの事?」